きれいな水と豊かな土、寒暖の差がはげしい気候。
この風土がいい米を作り、そしていい酢を造るんです。

【1.原料のお米は無農薬の新米のみです】  
いい酢はいい米から。
これが私どもの考え方です。昭和39年から地元、京都・宮津の棚田で農薬を使わずにお米を作ってもらい、その新米だけを原料にお酢を造っています。人里離れた棚田でわざわざお米を作るのは、他の田んぼで使った農薬や生活排水や影響を受けないようにするためです。種類は「コシヒカリ」が7割、あとの3割が麹作りに使う酒米の「五百万石」です。

【2.酢1リットルにつき、200gの米が原料です】  
「富士酢」はお米と水だけが原料の純米酢です。酢1リットルにつき200gのお米を使いますが、これはJAS規格の5倍量 にあたります。たっぷりのお酢で仕込んだお酢は、ただ酸っぱいだけでなく、コクと旨みが感じられます。 (メモ:JAS規格(日本農林規格)によれば、1リットルのお酢を造るのに40gのお米を使えば「米酢」と表示できることになっています。ただし、米だけからお酢をつくるには最低でも120gのお米が必要です。それに満たないものには、醸造用アルコールや各種の穀類を添加して造られています。それでも食酢の中に米酢が占める割合は15%足らずです。)

【3.自社の蔵で、杜氏が酢の原料の酒も仕込みます】  
毎年冬になると、私どもの蔵には但馬杜氏が酒造りにやってきます。麹づくりからはじまり、酒母づくり、そして酒の仕込みと、約100日間泊まり込みでの作業になります。一般 の酒造りと違うのは、かなり甘口のお酒にすることです。多少の雑味もありますが、雑味のもとはアミノ酸。これがこのあとお酢の風味をおいしくする決め手となります。 (メモ:お酢のメーカーで自社の蔵で酒を造っているところは今となっては非常に珍しいようです。)

【4.時間と手間はかかっても「静置発酵」でお酢を造ります】  
私どもでは「静置発酵法」によりお酒をお酢に発酵させます。これはタンクの表面 だけで酢酸菌が自然発酵していくのを待つ発酵法です。発酵だけで約100日間と時間はかかりますが、アミノ酸がとばず、まろやかな味のお酢に仕上がります。 (メモ:多くのメーカーでは2〜7日で発酵が終わる速醸の「全面発酵法」を採用。これはタンクの中に空気を人工的に送り込んで発酵を促進させる方法です。)